2008年04月26日
「トップコンサルタントがPTA会長をやってみた −発想力の共育法」
ボストンコンサルティンググループ、アクセンチュアと聞けば、世界の名門コンサルティング会社です。卓越した思考力で企業の経営戦略を担ってきた人がPTAをやったらどうなるのか興味津々で読みました。はじめは、「PTAをコンサルティングしちゃう話かな〜?」と思って読み始めたのですが、全然違いました!(笑)企業セクターの最前線で活躍され、我が子の教育、そして、PTA会長として学校に携わった三谷さんが今、とても重要な社会人に求められる力である「発想力」について、綴られている本でした。
この本は、正に夢職人の考え方にとてもリンクしていて、あっという間に読み終えてしまいました。「発想力」の重要性はもちろん、どうすればそれを伸ばしていくことができるのかについて述べられていました。途中途中に出てくる「PTA会長」としてのスピーチの内容は、「これはすごい!!」と思わず唸ってしまいました!子どもたちを前に興味関心を引き出しながら、わかりやすく述べることの難しさを知っているだけに勉強になりました。
中でも「『発想』とは、自由で自立的な意思が、多くの視点で見抜いた真実を、様々に組み合わせたものの、発露である。それは膨大なムダの上に成り立つ、摩天楼の輝きだ。多くの試行錯誤と豊かな『洞察力』に支えられた『価値あるものを見つけ、創り出す能力』」という部分がとても気に入っています。これからの時代と必要とされる力として、多くの人が指摘していることですが、このような力を育むためには、子ども時代に必要なものは一体なんなのでしょうか?興味のある方は、ぜひ、一読を!
本の中では、昨年、何度か「活動日記」でも取り上げた経済産業省が支援する「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト」の話も掲載されております!
2008年03月13日
「下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち」
最近、「下流」に関する本をよく見かけます。この本は、教育関係の方にすすめられて読み始めた本です。なかなか出口の見えない教育の話ですが、この本は、これまでに読んできた本とは、異なる新しい視点を与えてくれる本でした。本を開くとすぐに東京大学教育学部の佐藤学さんの「学びからの逃走」という言葉が紹介されていました。エーリッヒ・フロムの「自由からの逃走
生まれてからすぐに消費主体として育ち、教育サービスの買い手として成長し、等価交換を要求するようになっていく子どもたちの話は、なんとも言葉にならない気持ちになりました。教育と社会構造は、切っても切れない関係にあるので、さらに問題は根深い。経済的合理性が教育に入り込むことによって、多くの弊害が生み出されてる現状にどのように変化を起こしていくか非常に難しい課題を突きつけられた気がします。子どもと関わるより様々な分野の人からこの本を読んだ感想を聞いてみたいと思いました。
2008年03月03日
「赤ちゃんはどこまで人間なのか 心の理解の起源」
「赤ちゃんは、無力で白紙の状態で生まれてくる」という考え方は、一昔前の話。今では赤ちゃんが生まれながらにして持っているたくさんの力が科学的に明らかにされてきています。生まれてきた社会に適応していくために持っている能力というのは、実に興味深いです。この本では、赤ちゃんの心がどのように作られていくのか?そして、大人が感じたり、考えたりする方法がなぜこのようになっているのかについて、主に進化心理学的な視点から解説されていました。
実際に読んでみて、「赤ちゃん」の話というよりは、もっと人間の根源的な部分について、アカデミックに解説された本というイメージを持ちました。特に興味深いのは、とりあげられているトピックが非常におもしろいものばかり!「芸術とは何か?」という部分では、「贋作の何が悪いのか?」という部分があるのですが、言われてみれば確かに本物を求める理由を論理的に考えてみるとわからない・・・。他にも、「善と悪」についてなど道徳や共感性というものがどのように身につけられていくものなのか解説されています。学際的な多様な知見から述べられておりとても説得力のある本でした。子どもに関する取り組みをしている人には、興味深い話が多いと思います。
2008年02月28日
「アイディアの作り方」
アイディアってどんなことをやるにしても必要になるものですよね。でも、アイディアって浮かばなくて困ったという経験は、誰もあすはずです。「アイディアはセンスでしょ!」、「アイディアは、がんばっても浮かぶもんじゃない!」という風に思っていませんか?アイディアを生み出すには、どの分野においても一定の流れというものがあるということをこの本は教えてくれました。
まず、手にとって驚くのは、この本の薄さ!アイディアの作り方なんて、何十年も勉強しなきゃならないと思っていたので衝撃的でした。超一流の広報マンの著者が執筆しただけあって、単刀直入でとてもわかりやすい内容でした。後半の今井さんの書かれた文章でさらに納得!この本が出版されたのは、1988年なのでだいぶ前なのですが、やっぱり原理というのは、時が経っても変わらないものですね。特に科学的な視点を踏まえて書かれていたことが印象的でした。クリエイティブなことに取り組まれている多くの方が絶賛しているのもよくわかる一冊でした。
2008年02月19日
「ビジョナリー・ピープル」
「ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則
「意義」、「思考スタイル」、「行動スタイル」の3つの観点から分析が行われています。自分のモノサシ(信念)を確立し、どんな逆境や失敗の山にも挫けることなく、むしろチャンスとして捉えて、突き進んでいくことのすさまじさには、驚かされました。周囲の評価を全く気にしないということを心の底から言えることにさらにビックリ!正に社会起業家のあるべき姿のように感じました。マネしようと思ってできるものではありませんが(笑)、生きるということへのその姿勢から学ぶべきことは大変多いと思います。夢にへこたれそうな時は、ぜひ、読んでください!!
タグ:ビジョナリー・ピープル
2008年01月26日
「社会で子どもを育てる―子育て支援都市トロントの発想 」
子育ては家庭の問題だけでなく、社会的な基盤があってこそなされるものです。日本は、一昔前までは、ごく自然にそのような基盤が成立していたことを象徴する言葉に「親はなくても子は育つ」という言葉があります。最近は、めっきり聞かない言葉かもしれません。本書では、子育て都市として、発展してきたカナダのトロントでの取り組みについて、網羅的に説明されており、大変参考になった一冊です。今すぐにでもはじめたい取り組みが多数取り上げられていました。
臨床心理士である著者がソーシャルワークの重要性を何度も強調しておりますが、私自信もとても共感しています。特に昨今、専門分野が高度化し、それを橋渡しするコーディネーターが日本においても必要不可欠だと感じます。自分の地域に気軽に会話のできるコーディネーターが存在していたら、整備が進む専門機関の効果も飛躍的に伸びていくのではないでしょうか?
「マイクロレベル」→「メゾレベル」→「マクロレベル」という全体を見通し、行動していくソーシャルワークの視点こそ、正に日本における地域精神保健の分野において、大変重要なものだと思います。「ゴールは、ソーシャルチェンジ(社会変革)を起こしいくことだ。」という姿勢が何よりも見習いたいところです。対処療法的な行動にとどまらず、予防的な視点で取り組みをすることの必要性をとても実感させてくれました。
臨床心理士である著者がソーシャルワークの重要性を何度も強調しておりますが、私自信もとても共感しています。特に昨今、専門分野が高度化し、それを橋渡しするコーディネーターが日本においても必要不可欠だと感じます。自分の地域に気軽に会話のできるコーディネーターが存在していたら、整備が進む専門機関の効果も飛躍的に伸びていくのではないでしょうか?
「マイクロレベル」→「メゾレベル」→「マクロレベル」という全体を見通し、行動していくソーシャルワークの視点こそ、正に日本における地域精神保健の分野において、大変重要なものだと思います。「ゴールは、ソーシャルチェンジ(社会変革)を起こしいくことだ。」という姿勢が何よりも見習いたいところです。対処療法的な行動にとどまらず、予防的な視点で取り組みをすることの必要性をとても実感させてくれました。
2008年01月14日
「孤独なボウリング 米国コミュニティの崩壊と再生」
「変なタイトルだな〜!」と思われた方も多いかもしれません。(笑)。ボウリング人口は減っていないのに、社交としてのボウリングが激減したのはなぜなのか?このタイトルは、とってもこの本の芯をついているタイトルです。日本でも随分前から地域社会における人間関係の希薄化が指摘されています。それは、アメリカにおいても同じです。「“人づきあい”って、大切だよね〜!」とは、誰しもが思っていると思うのですが、具体的に“人づきあい”が何をもたらし、“人づきあい”がないとどうなってしまうのか?ということまでは、あんまり考えられていないかもしれません。
この本では、「社会関係資本」(ソーシャルキャピタル)という言葉がたびたび登場します。「社会関係資本」という言葉を使っていますが、端的に言うとご近所づきあい、地域・教会活動、学校行事への参加などの人間関係を指しています。この本のスゴイのは、膨大な調査結果を組み合わせながら、「なぜ、アメリカにおけるコミュニティが衰退したのか?」という疑問を紐解いている点です。当然、原因はひとつではないので複数の側面から捉えられているのですが、徹底的にデータから見ていくと世間一般に言われている話は、意外にも的はずれ!?だったりと思わず「そうだったのか〜!」と唸ってしまいます。特に非営利活動団体などをされている方は、必読です!後半には、これからどうすべきかについて述べられているのですが、自分達の活動の背中を押してくれているように感じられ、今後の参考になりました。たくさんメモを取ってしまいました。遠い国の話ではなく、十分日本の地域社会の崩壊に通ずる研究だと思います。日本でこのような研究が行われたらどうなんだろうか?
2008年01月13日
「そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生」
「株式会社いろどり(彩)」って知っていますか?徳島県上勝町の高齢者福祉産業で有名な会社です。この会社は、本当にスゴイ。徳島の過疎化した小さな町を大変革した会社です。男は朝っぱらから大酒をあおり、女は陰で他人をそしり日々を過ごすどん底の田舎町が今では70代、80代のおばあちゃんたちが、売上高2億6000万円のビジネスを支え、人口の2倍もの視察者が訪れる注目の町に変貌させました。「どんな事業でそんなに大きな変化を生み出したのか?」と思う人も多いかと思います。それは、正にタイトル通り“彩(葉っぱ)事業”です。「葉っぱがビジネスや商売になるわけないだろ〜!」と言いたくなる人は、ぜひ、この本を読んでみて下さい。
この“いろどり(彩)”を生み出したのが横石知二さん。日本の社会起業家の先駆的な存在の方です。この本の中では、横石さんがここまで歩まれてきた険しい道のりが綴られています。“いろどり(彩)”の話は、以前から知っていましたが、事業化されたプロセスについては全然知らなかったので、本当に勉強になりました。特に努力が実って段々と市場で売れるようになり、役目を果たした横石さんが農協に辞表を出した時に、たくさんの農家から辞めないで欲しいという懇願書が届いたという実話と写真には、涙が出そうになりました。どんな逆境に置かれても挑戦を諦めない横石さんには、“不撓不屈”という言葉は正にピッタリです。後半に書かれている「地方再生」、「高齢者福祉」についての考え方は、とても共感しました。何よりも身をもって社会を変えた人の言葉は、心に響きます。日本がダメだと嘆く前にこの一冊。
2007年12月24日
「シブヤ大学の教科書」
「シブヤ大学」ってご存じですか?「遊ぶのがいちばん楽しい街は、学ぶのがいちばんたのしい街になれる。」という言葉は、とても良いキャッチコピーだと思いませんか?シブヤ大学には、キャンパスはありません。というよりも渋谷の町全体がキャンパスなのです。とってもわくわくする話です。2006年9月に開校したシブヤ大学は、渋谷の町の色々な場所を教室としながら、たくさんの講師陣が在籍しており、他では絶対に学ぶことのできない授業が目白押しです!著名人だけではなく、街の隠れた先生がたくさん出てくるところがとってもおもしろいところです。毎回の講座は、申込殺到ですぐ満席になってしまうほどの人気だそうです。
この本では、これまでシブヤ大学で実施されてきたいくつかの授業が取り上げられています。緩和ケアの先生の話、アートディレクターさんの年賀状の話、とっても奧が深いカレーの話、官僚らしくない官僚の話・・・、次から次に出てくる学びの楽しさに思わずシブヤ大学に足を運んでみたくなります!これまでなんだかダサイというようなイメージが先行してきた生涯学習や社会教育のイメージを一新し、民間で新たなモデルを生み出しているところは正に圧巻です。全てにおいて、プロデュースがうまい!!
ひとつひとつの街が学びの場になっていくことのおもしろさがとてもよく伝わってきました!続編もとっても楽しみです。
この本では、これまでシブヤ大学で実施されてきたいくつかの授業が取り上げられています。緩和ケアの先生の話、アートディレクターさんの年賀状の話、とっても奧が深いカレーの話、官僚らしくない官僚の話・・・、次から次に出てくる学びの楽しさに思わずシブヤ大学に足を運んでみたくなります!これまでなんだかダサイというようなイメージが先行してきた生涯学習や社会教育のイメージを一新し、民間で新たなモデルを生み出しているところは正に圧巻です。全てにおいて、プロデュースがうまい!!
ひとつひとつの街が学びの場になっていくことのおもしろさがとてもよく伝わってきました!続編もとっても楽しみです。
2007年11月22日
「社会起業家という仕事 チェンジメーカーII」
2005年に出版され、ソーシャル・ベンチャー、NPO、NGOで働くことについて、多くの人のイメージを一新した「チェンジメーカー~社会起業家が世の中を変える
今回、紹介されている17人のうち4名の方が日本人でした。前作よりも多く日本のチェンジメーカーが紹介されており、とてもうれしい気持ちになりました。海外の事例も大変充実しており、「こんなことに取り組んでいる人がいるのか!すごい!」と何度も驚かされました!発想と行動力が半端じゃない!それにしても海外の非営利活動の規模の大きさには、かなり唖然とさせられてしまいました。それぞれの活動の紹介部分では、「年間活動費」が記載されているのですが、日本のNPOやNGOに比べて正直、ゼロの数が違います。地域コミュニティをフィールドとしているか、世界をフィールドとしているかによって当然、その金額は異なりますが、それにしても非営利組織の持つ人的・財政的基盤の差異には、悔しさを覚えます。(笑)
これまで社会起業家という言葉や「NPOって、ボランティアなんでしょ!」という人でもきっと気軽に読むことができ、そのイメージを一新してくれます。誰かを、幸福にするという、新しくて楽しい働き方の提案です。
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