
少年犯罪の深層―家裁調査官の視点から
著者:藤川 洋子
出版:筑摩書房 (2005/05)
メディアの一面的な報道では、少年・少女達のことを現実的に感じることはできず、「本当のところどうなんだろう?」という疑問からこの本を読み始めてみました。
はじめは、「抽象的な犯罪社会学・犯罪心理学の理論ばかりが書かれている本かな〜!」と思ったのですが、さすが現場で家庭裁判所調査官をしている著者が書いているだけあって、具体的な事件の事例が詳細に述べられており、イメージを深めながら読むことができました。
なかなか表にだって発言することの難しい家庭裁判所調査官の仕事の様子を垣間見ることができ、とても貴重な知見を得ることができたと思います。
将来、家庭裁判所調査官になりたいという人にも良い本だと思います。少年・少女の非行を考える場合、生物的要因、心理的要因、社会・文化的要因の3つの要因から主に考察されます。
従来は、何かと「親の愛情不足・育児能力の欠如」に帰属されがちだったようですが、最近は、科学の進展に伴い脳科学や神経心理学などの側面から生物的要因がきちんと捉えられるようになってきたようです。後半に書かれていた少年犯罪に関する統計の読み解きは、とても勉強になりました。統計の落とし穴に多くの人がはまっている現状がよくわかりました。
「子どもが凶暴化している」という根拠のない言葉が一人歩きして、子どもに対して疑心暗鬼の大人が増え、子どもの社会的孤立が一層深まっている現代において、この本は、「子ども」や「青少年」について正しい認識を深めることの重要性を改めて感じさせてくれました。



この本は読んだことありませんが、非行に関する書物は幅広く出ています。調査官の立場やカウンセラーの立場からなど、色々な視点から見ることが出来ます。ひとつに偏って読むよりも、多方面から見ると面白いと思います。
私個人の意見として、非行要因はひとつではなく、複数の要因が絡み合っているものだと思っています。環境的なものや心理的なものなどが同時に発生しているのではないでしょうか。なので、私の研究の中では要因の一つとして考えられるものを取り上げて行っています。「原因はこれだ!」というよりも、一つの可能性として考えられると思っていた方がいいと。
実際に起こっている事実をもっとたくさんの人に知ってもらえることが出来れば、少年らの人生はもっと前向きになるはずだと思います。
一言で、低年齢化・凶悪化と言ってはいけないですね。